2004年の年金制度改正で大きく変わりました。
保険料の上限が決められたことと「マクロ経済スライド」と呼ぶ給与水準を削減する仕組みが導入されました。

年金の支給水準

モデル夫婦の厚生年金(基礎年金部分と比例報酬部分の合計)は、現役世代の平均手取り収入の50%を下回らない水準と決められました。

モデル夫婦は,夫が平均賃金で40年間働き妻が40年間専業主婦の家庭です。
国民年金だけに加入している夫婦の年金支給額は、40年加入で65歳受給開始の場合で6万4千円*2人で12万8千円です

マクロ経済スライド

マクロ経済スライドは、年金額を決める際、物価や賃金だけでなく、年金の支え手である現役世代の減少や、高齢化により年金を受ける期間が延びることなどを反映させる仕組みのことです。

これにより年金の給付水準を抑制されます。
具体的には、賃金の伸びや物価の伸びからスライド調整率(公的年金全体の被保険者の減少率0.6%、平均余命の増加0.3%)を差し引きます。
この調整は2004年度から2023年度まで続きます。
その間は物価や賃金が大きく伸びても年金が増えることはありません(大きなインフレになる場合は別です)。

年金の支給水準

現役世代の平均手取り収入の50%は保障されますが,現役世代の収入が減ると支給額も減ることになります。

2014年に厚生年金・国民年金の財政検証が行われて、日本経済が成長するケースと低成長のままのケースで検証が行われました。
成長するケースでは、現役世代の手取り収入の50%が保障されます。
低成長ケースでは,45.6%で目標の50%を下回ります。

モデル夫婦の年金は,多くの人に比べて高めにでます。
このため、多くの人に取ってはモデル年金よりも少なく,減額幅も大きくなります。

現役世代の人数の減少を越えて収入が増えないと年金世代への支給額も減って行きます。
このような制度があり年金自体は破綻はしませんが,支給額の減少は特に既に受給している年金世代に大きな影響があります。

年金制度の改正も議論されますが,夫婦共働きや個人向けの確定拠出年金あるいは小額投資非課税制度(NISA)など有利な貯蓄制度を利用して老後に備えることが必要になります。