人生100年時代が現実的になってきています(特に女性)。
長生きできるのは喜ばしいことですが、老後の生活費も増えて老後リスクにもなりかねません。

そこで、老後に備えるため個人年金保険や貯蓄を始めたいところですが、現在のマイナス金利の時代増やすのは困難です。
預金金利が年5%ぐらいの時代(数十年前)もあったのですが、現在の定期預金金利は都市銀行で0.01%(1年)と低く、さらに利息から源泉徴収(20.315%)が控除されさらに少なくなります。

日本は財政赤字が1,000兆円と膨大なので今後金利が上がることは期待できません(金利が上がるときは日本が破綻します)。

従いまして、預金で老後資金を準備するのは困難で、個人年金保険も同様です。
そこで、注目される老後資金作りに以下が期待されます。

  • 確定拠出年金「iDeCo」
  • 外貨建保険あるいは外貨預金など

 

確定拠出年金については、【確定拠出年金】来年1月から全ての現役世代が加入できるようになりますで紹介しています。
この中で取り上げている「個人型」が「iDeCo」です。

今回は、外貨建保険と外貨預金を紹介し、そのメリット・デメリットを見てみます。

 

平均余命

平成28年の平均寿命は、男性で約81歳、女性は約87歳です。
平均寿命まで生きられると考えるのは間違いで、生きられると予想される年齢は平均寿命でなく平均余命で考える必要があります。
平均寿命は0歳児の平均余命で、平均余命(下表を参照ください)は年齢が増すごとに減少していきますが、年齢に平均余命を足した平均で何歳まで生きられるかの年数(生存年齢)は増えていきます。
括弧内は年齢に平均余命を加えた平均の生存年齢です。

年齢男性女性
0歳80.98(80.98歳)87.14(87.14歳)
20歳61.34(81.34歳)67.46(87.46歳)
40歳41.96(81.96歳)47.82(87.82歳)
60歳23.67(83.67歳)28.91(88.91歳)
80歳8.92(88.92歳)11.82(91.82歳)
90歳4.28(94.28歳)6.62(95.62歳)

 

外貨預金

金利の高さではトルコのリラや南アフリカのランドが知られていますが、金利の高い通貨は為替レートが下がりやすく外貨預金としては薦めれません。

じぶん銀行を例にとると、外貨定期預金の1年ものの金利は以下になります。

  • 米ドル:1.8%
  • ユーロ:0.002%
  • 豪ドル:1.75%
  • ランド:7%
  • NZドル:2.3%

 

□ メリット

外貨預金には、円預金に比べ以下のメリットがあります。

  • 金利が日本より数十倍から数百倍高いので増やしやすい
  • いつでも追加・引き出しが可能

 

金融機関ではキャンペーンで金利を高くしていますが、金利の高い(10%ぐらい)期間は1ヶ月〜3ヶ月程度と短く期待できません。

 

□ デメリット

外貨預金には、円預金に比べ以下のデメリットがあります。

  • 為替手数料がかかる(銀行窓口は高くネット銀行は安い)
  • 元本保証がない(円高が進むと元本割れも発生)

 

外貨預金と外貨建保険のメリット・デメリットは、下に示します。

 

米ドル・円の為替手数料は比較的安いのですが、それでも都市銀行で1ドル1円、ネット銀行だと数銭(1銭は0.01円)でその他の通貨はもっと高額です。
為替手数料は、相手先通貨に変える(両替)ときと相手先通貨から円に戻すときの2重にかかるので注意が必要です。

 

外貨建保険

外貨建保険は、外貨で運用するので比較的金利が高く円建保険に比べるとためやすい保険で注目されています。
外貨建保険も為替レートの影響を受けるので保険料をまとめて支払う一時払いが一般的です(運用中の為替レートに影響されない)。

外貨建としてのメリット・デメリットは、外貨預金と同じですが積立期間中の引き出し(解約)は不利になります。

 

外貨建保険と外貨預金の例

積立型の外貨建保険としてソニー生命「米ドル建生前給付終身保険」を例にとり外貨預金と比較します。

 

□ 特徴と保証内容

この保険は、以下の特徴を持ちます。

  • 米ドル建終身保険
  • 三大疾病、特定障害状態・要介護状態は死亡保険金と同額を保障(1回限り)
  • 就業不能リスクにも対応
  • 保険料は円払い(前期前納は米ドルも可)

 

保障内容の例を以下に示します。

  • 死亡保険金:5万米ドル
  • 保険料払込期間:60歳まで
  • 保険期間:終身

 

この保障内容の場合の月額保険料は以下になります。

  • 20歳男性は63.20ドル、女性は61.55ドル
  • 30歳男性は92.20ドル、女性は89.70ドル
  • 40歳男性は152.55ドル、女性は145.20ドル

 

20歳男性が加入すると、以下になります。

  • 死亡や三大疾病、特定障害状態・要介護状態になると死亡保険金
  • 保険料払込満期で払込保険料の総額:22,752ドル(保険金5万ドル)

 

外貨建保険と外貨定期預金との比較

比較のため、両替手数料の安いネット銀行で外貨定期預金をすると毎月1万円を定期預金金利1.8%で20歳男性が60歳まで積立ると以下のようになります。

  • 30年間の積立総額:360万円
  • 元利合計:約450万円(税引後)

 

もし、年3%で運用できれば60歳での元利合計は5,266,743円になり、上で示したソニー生命「米ドル建生前給付終身保険」とほぼ同額になります。
定期預金の例では、利息に20.315%が源泉徴収されています。
税金から見るとソニー生命の例は、以下になります。

  • 解約返戻金を自分で受け取ると一時所得の総合課税(通常は利息の源泉徴収より有利)
  • 死亡保険金を遺族が受け取るとこのケースでは非課税

 

□ 外貨建保険から見たメリット

外貨建保険から見たメリットには、以下があります。

  • 積立期間が長いこともあり金利が相対的に高く貯めやすい
  • 税金面で有利
  • 死亡保障がある(死亡保障のない解約返戻金だけの外貨建保険もあります)

 

外貨定期預金との比較では、外貨建保険の方が有利と言えます。
外貨建保険は、年3%弱程度で運用されているようです。

 

□ 外貨建保険から見たデメリット

通常(円建)の保険と貯金の関係と同じく、外貨預金は出し入れが自由なメリットがあります。
外貨建保険は積立期間中にお金が必要になったときは、解約して解約返戻金を受け取ることになるので通常高額ではありませんが元本割れのケースになります。

 

□ まとめ

外貨建保険と外貨定期預金を比べると、外貨建保険の方が有利と言えます。
ただ、10年〜30年と払込期間が長いので為替レートの予測ができない問題があります。

  • 金利は外貨の方が高いと予想される
  • 満期時、円安であれば受け取る金額は大きくなる
  • 逆に円高になると受け取る金額は減り、元本割れもあり得る

 

掛捨ての定期保険などは別ですが、終身保険や個人年金保険など増やす保険は、外貨建も検討する時期に来ていると言えます。