日本では、高齢社会が急進展しています。現時点の日本の人口(平成26年1月1日の推定)は、1億2722万で、その内、2,874万人が65歳以上の高齢者です。
高齢者で、介護保険制度を利用している認知症高齢者(日常生活自立度Ⅱ以上)が280万人、
日常生活自立度Ⅰの高齢者及び要介護認定を受けていないが日常生活自立度Ⅰ程度と予想される高齢者が160万人、
軽度認知障害(MCI)の高齢者が380万人に上り65歳以上の高齢者の4人に一人は認知症高齢者あるいはその予備軍で、身近に対象の高齢者がいる人は多いと予想されます。

認知症あるいはその予備軍の高齢者は、今後とも増加して行きます。
介護保険があることから日常の生活面では十分とは言えないまでも備えはある程度は出来ています。
しかし、介護費用は、生活面だけではありません。その例として、認知症の夫が電車にはねられて死亡する事故がありました。
鉄道会社がその妻に、この事故で生じた振替輸送費や人件費などの賠償を求める裁判があり、今年の4月に名古屋高裁で約360万円の支払いを命じる判決がありました。
上告すると思われるのでまだ確定はしていませんが、最高裁で確定すると、認知症は誰でもなる可能性が高く、鉄道事故だけでなくあらゆる場面で起こりえるので影響は甚大で、今からその備えを考える必要があります。


このリスクに備える保険に個人賠償責任保険があります。

この保険は、偶然の事故で相手に損害を与えた場合に支払う賠償金をカバーするものです。
単独で保険に加入するのではなく、自動車保険や火災保険の特約(オプション)で入ることが出来ます。
本人だけでなく家族も保証の対象になりケースが多くあります。

そして、自動車保険の場合、ソニー損保「自動車保険」おりても特約家族型の追加保険料は年間9,000円ですが、損保ジャパングループ「おとなの自動車保険」個人賠償責任特約は年間の保険料が500円です。
その他の自動車保険でも年間で1、000円から2,000円ぐらいが多く、保険金の上限は1億円ぐらいですので保険料が安価の割には支払われる保険金が大きく、充実しています。

自動車保険や火災保険に加入している人は多いと思いますので自分の入っている保険の特約を調べて可能なら特約を付けることを勧めます。


自動車保険の特約は、自動車事故以外も対象になります。
例えば、自転車事故の損害もカバーできます。自転車保険で高額の賠償判決が多く出ていることから、家族持ちの方や自動車だけでなく自転車にも乗られる方は特約を付けることを勧めます。

この特約は、日常生活で偶然に発生する責任への賠償金をカバーするもので、その一つとして認知症高齢者の賠償責任をカバーするものと考えられるものです。
今回の鉄道事故のようなケースはまだ支払い例がないようですが、請求すれば支払われる可能性が高いと言われています。


自動車保険には、特約が付いている保険が多いようです。

自動車保険に加入していない場合でも、以下の様な個人賠償責任保険(記載しているのはその一例です)がありますので検討することを勧めます。
☆ イオンカード家族賠償責任プラン 保険料は年額2,880円
☆ JCBトッピング保険日常生活賠償プラン 保険料は年額1,560円
☆ 三井住友VISAカード ポケット保険 保険料は年額960円
☆ セゾンカード ご迷惑安心プラン 保険料は年額3,600円
※ 三井住友VISAカード ポケット保険の保険金の上限は、5,000万円、他は、1億円


偶然の事故に巻き込まれるケースは多くはないと言えますが、高額の賠償が発生する自転車事故や認知症高齢者に予想される事故は今後増えて行くと予想されるので、今からその備えを考えましょう。
特約を付ける場合は、その特約の適用範囲が必要としている機能をカバーしているか確認してからにしましょう。